CITROËN 2CV・JNR キハ82

2009/06/11 22:20, Posted in Panorama, 北海道エリア by s.sakai – 4 Comments

北海道は三笠市のクロフォード公園に並んだシトロエン2CVと国鉄キハ82。北海道の広い空の下、2CVの空冷水平対向2気筒OHVエンジンが軽やかに響く。自動車と気動車、仏日名車の共演。
シトロエン2CV

Flash Panorama + 2CVエンジン音 ↑
念願叶って、ノーザンライツ高木義人氏の愛車「シトロエン 2CV」に同乗させてもらった。2CVの誕生から60周年を迎えようとしていた2008年9月のこと。いつも多忙な高木氏ゆえに、ちょうど島鉄CDが完成した頃合いを狙って?突然「北海道行きます、来週。で、2CVに…」などと宣言してみた次第…(作戦成功)。思えば高木さんに初めてお会いした時から「乗せて欲しい」的な発言をしていた記憶があり、なんとも図々しい。
そんな図々しいお願いを快諾してくれたうえに、2CVで三笠市の三笠鉄道村まで連れて行ってもらえることになった。当日朝は札幌駅の”旭山動物園号の出発ホーム“で待ち合わせ、なんとも的確な待ち合わせ場所と時間。運転操作以外の指導員として高木家エース、タクトくんも同行してくれた。駅の地下駐車場で2CVとご対面。ひと通り予習してきたつもりだったが、解錠から、2段折の窓、幌の開閉手順まで丁寧に教えてもらう。なんというか夢があっさりと叶ってしまって、時計台の横を通過する辺りまで無言になってしまいそうだった。

シトロエン2CV大人2人(と私の旅道具)に子ども1人、ラゲッジルームには市民農園用の農耕具が満載の状態で札幌駅を出発した2CV高木号。排気量こそ誕生時の375ccから602ccにアップしているものの、それでも29馬力。当日は”大人2人とじゃがいも50kg“より明らかに重たい条件だったわけだけど、各段エンジンを引っ張れば、予想以上にトルクも効いて流れに乗れるし、なにより風や音ともに伝わってくる動作のひとつひとつが自然で、心地よく柔らかい。
それからもうひとつ、2CVの”お楽しみ”だったのがシートで、これはシートフレームに生地を太い輪ゴムで吊っただけ(!)の、ハンモック状の簡易なシートなのだが、どうして輪ゴムで…と暫し考え込んでしまうほどの心地よさ。面圧がなんとも絶妙で腰にもお尻にも優しく疲れない、どこまでも座っていたくなるシートであった。
高速道路に乗ってからは走行車線を80km/h強で快走、空切音が盛大なのでエンジン音はあまり気にならない。時々、ものすごい勢いで巨大なミニバンが追い抜いて行くのには呆れたけれど、古いクルマに対する視線は、古いクルマだけには優しいパリとは大きく異なるようで…。
高速を降りて幌を開ければ、いよいよ2CVの本領発揮。シフトレバー上に付いたノブを回せばフロントガラス下のベンチレーターが開閉し、そこから吹いてくる初秋の風がなんとも気持ちよかった。

クロフォード公園にて高木氏が「CITROËN 2CV6 Spécial」を手に入れたのは1989年12月のこと。フランスでは1988年に生産中止となったので、ポルトガル製の最終モデルだ。購入後に北海道へ移住したので暑さで困った記憶はないとのことだが、すき間風だらけのボディーゆえに冬場はかなり大変らしい(→ 2CV、10数年ぶりにタイヤチェーンを履くの巻)。それでもそんなボディー特性は「季節や場所、天候ごとにいろんな風を楽しみながら走れる。トラックの後ろを走るとタイヘンだけど…」とその魅力を語ってくれた。
もっとも普段の移動は自転車と地下鉄がメインで、必要な時だけ2CVの出動となるそうだ。日常の小トラブルを尋ねると「緩む、ハズれる」だそうで、なるほど、締めて付け直せることは2CVオーナーにとって「小」トラブルに分類されることなのかもしれない。そんなシンプルでタフな点も2CVが長く愛されている理由だろうか。
2004年の台風18号ではエゾマツの直撃を食らうという災難も乗り越えた2CV、「3人の子供が人生最初に乗ったのもこのクルマだし、とにかく思い出がいっぱい詰まったクルマであることは確かかな」と高木さん。2CVはWWPのパノラマブログにも時々登場するでチェックしてみてください。

札幌から小一時間で到着した三笠鉄道村は旧幌内線の幌内駅跡地。幌内線は1882年に官営幌内鉄道として北海道で最初に敷かれた路線でもある。屋外に展示された車両は例外なく車体の傷みが気になったが、貴重な車両が静態保存されている。さらに三笠鉄道記念館内には北海道の鉄道史に関する資料やDMH17エンジンのカットモデルなどもあり、何時間でも見て居られる展示内容なんだけど…、なんともこの日は2CVで十二分に満たされてしまった私…贅沢な私。また再訪したい。

キハ82-100…などと言いつつも、しっかり三笠鉄道村を見学したあと、そこから山を下った三笠市街まで2CVを体験運転させてもらった。
一番心配だったのがシフトチェンジで、ステアリング右脇にあるエンジンルームからまっすぐ伸びたシフトレバーを前後に操作して変速するのだが、これは高木さんの「上から見たらMT車のHパターンと同じ」の一言で妙に納得した。折れそうなくらい細いウィンカーレバーを優しく倒して方向指示、シフトノブをNから左にひねって手前に引いて1速。細いステアリングを握って気合い入れて操舵しながら、シフトレバーをNから奥に押して2速へ。そこから手前に引き戻して3速。そうそうウィンカーレバーは自動で戻らないのであわてて戻す。最近のクルマしか乗ったことのない怠けた体にはなかなか忙しい。一番難しかったのがブレーキングで、適度にエンジンブレーキを効かせながらブレーキペダルをムギュっと踏んでやらないと狙ったように減速・停止できず、これは最後まで滑らかにできなかった。同乗者の方、スミマセン。

昼食の後にはクロフォード公園も見学。この公園も旧幌内線の三笠駅跡にあって、ここにも鉄道車両が屋外展示してある。なかでも廃線跡に並べてあるキハ82系の6両編成は迫力だったけれど、やはり傷みが目立ってしまい痛々しい。
周囲の草むらで高木親子がコオロギ捕獲作戦を開始したところで、こちらは2CVを撮影をさせてもらうことに。仏日の名車(ジャンル違い)がどちらも美しく写るようにあれこれ悩んだ末、キハ82のDMH17Hエンジンも見えるこの位置に決めた次第。どうでもいいけど、2CVは空冷水平対向2気筒OHVエンジン、排気量602ccなので国鉄式に表記すればGMB0.6Hといったところだろうか…違うか。

2CV車内まもなく20年で67,000kmを走ってきた青いシトロエン2CV。最後に2CVに乗り続けてきた良かったことを尋ねたら「乗る度にコレでイイんだ充分なんだって気付かされることかなぁ」と返ってきた。「さすがに暖機運転中の排気ガスの臭さは後ろめたさを感じるようになってきた」とも続いたが、エンジンは相変わらず好調で燃費も14km/l程度で走るとのこと。2CVが今から60年も前に設計されたクルマであることに改めて驚くばかりだ。よく分からないエコばかりが氾濫している世の中だけど、20年で67,000km、同じクルマを大切に必要な時だけ乗るというほうが”エコポイント”は高いんじゃないかとも思う…。
シトロエン2CVの快適シートに座って動き出すと、当時の開発者、技術者の思いが音や振動、(すき間)風となって全身に伝わってきた。それが何よりの収穫だったし、これからの自動車に必要なモノ・コトを改めて考えるきっかけにもなった北海道の体験乗車だった。お二方、ありがとうございました。(また行きます…)

2009年にブランドロゴを刷新したシトロエン。グローバルサイト内の「THE HISTORY OF CITROËN」な動画もぜひ。新旧貴重な映像を織り交ぜた1分半。アバンギャルド。
(2008年9月撮影)

  1. takagi より:

    労作ですなぁ。よくぞここまであのツヤ消しボディをピカピカにしてくれました。ちなみにマイ自転車Haroのロゴもダブルシェブロン(笑)。
    http://www.harobikes.com/

  2. s.sakai より:

    2CVとキハ82。すばらしき共演となりました。ありがとうございました。
    また”シトロエンとパノラマの旅”を秘かに計画したいと思います(笑

  3. keiji より:

    大作ですゾ、今度は中からぐるーっと如何?
    それにしても、とっても2しぶー、違うか…。

  4. s.sakai より:

    いろいろ撮らせてもらう心算だったのですが、体験乗車ですっかり満足してしまいました。
    2CVと鉄道村の大波ふたつに飲まれたマイエンジンは確実に2馬力以下(意味不明)

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